イタチ科の動物の種類を解説！日本に生息するイタチ科動物の対策・駆除の注意点

日本にはニホンイタチやチョウセンイタチなど、さまざまなイタチ科動物が暮らしています。

被害を防ぐには、まず相手を知ることが大切です。

この記事では、イタチ科動物の種類や見分け方、効果的な駆除・予防方法、そして法律上の注意点までわかりやすく解説します。

イタチは何科の動物？分類学的位置と基本情報

イタチがどんな動物なのかを正しく知ることは、対策を立てる第一歩になります。

イタチは哺乳類の中でも肉食動物のグループに属し、世界中のさまざまな環境で暮らしている動物です。

ここでは、イタチの分類や体の特徴、どこに住んでいるのかを見ていきましょう。

イタチの正確な分類｜食肉目イタチ科イタチ属

イタチは哺乳綱・食肉目・イタチ科・イタチ属に分類される動物です。

食肉目にはイヌやネコも含まれますが、イタチ科は細長い体と短い足が特徴で、狭い場所にも入り込めます。

イタチ属には世界で約17種類がいて、日本のニホンイタチやチョウセンイタチもここに含まれています。

イタチ科動物の共通した身体的特徴とは？

イタチ科動物の最大の特徴は、細長い胴体と短い足という独特な体型です。

この体型のおかげで、狭い隙間や穴にもスルリと入れます。

体重は多くの種で2kg以下と小柄ですが、鋭い牙と爪を持つ優れたハンターでもあります。

また、お尻にある肛門腺から強いにおいを出して、敵から身を守る能力も備えています。

世界と日本におけるイタチ科の分布状況

イタチ科動物は、ユーラシア大陸やアフリカ、南北アメリカなど世界中に広く分布しています。

日本では北海道から沖縄まで、各地の環境に合った種類が暮らしています。

気になるのは、日本固有のニホンイタチが外来種のチョウセンイタチに住みかを奪われつつある点です。

地域ごとにどの種類がいるかを知っておくと、対策を立てやすくなるでしょう。

日本に生息するイタチ科動物の全種類一覧

日本には在来種4種類と外来種2種類、合計6種類のイタチ科動物が確認されています。

種類によって住む場所や行動パターンが違うので、被害対策には正確な特定が欠かせません。

ここでは、それぞれの種類について詳しく紹介します。

在来種として生息する4種類の特徴

日本の在来種は、ニホンイタチ、ニホンイイズナ、キタイイズナ、オコジョの4種類です。

これらは長い年月をかけて日本の自然に適応し、生態系の中で大切な役割を果たしてきました。

しかし、外来種の侵入や環境の変化で数が減り、一部は絶滅が心配される状況です。

ニホンイタチ｜日本固有の在来種

引用元：ニホンイタチの特徴、分布、生態、写真をご紹介します。｜目に見えるいきもの図鑑

ニホンイタチは日本だけに住む固有種で、古くからこの国で暮らしてきました。

体長はオスで約30〜40cm、メスで約25〜30cmと小柄で、茶褐色から赤褐色の毛色をしています。

本州・四国・九州の山や川の近くに住み、ネズミや昆虫などを食べて生活しています。

残念ながら、外来種のチョウセンイタチに押されて数が減り、今は山間部に限られた地域でしか見られなくなりました。

ニホンイイズナ｜最小の食肉類

引用元：イイズナ Webいきもの図鑑

ニホンイイズナは日本で最も小さい肉食動物で、体長はわずか13〜26cmほどです。

青森県・岩手県・秋田県の山岳地帯に住み、冬には雪に紛れるよう白い毛に変わります。

小さな体を活かして岩の隙間や雪の下でも活動し、主にネズミや小鳥を捕まえて食べています。

キタイイズナ｜寒冷地適応種

キタイイズナは主に北海道に住む寒さに強い種類で、厳しい冬にも耐えられる体を持っています。

体長は13〜26cm程度で、冬には真っ白な毛に変化して雪原で身を隠します。

この白い毛はキツネなどの天敵から身を守るのに役立っています。

エゾオコジョ・ホンドオコジョ｜季節で変わる毛色

引用元：大雪山の絶滅危惧種、エゾオコジョ。そのオコジョが私の前で◯◯◯をした本当の理由を考えてみた – 山と溪谷オンライン

オコジョは季節によって毛色が大きく変わるイタチ科動物で、北海道にはエゾオコジョ、本州中部以北にはホンドオコジョが住んでいます。

夏は背中が栗色でお腹が白く、冬はしっぽの先だけ黒いまま全身が真っ白になります。

体長は約13〜29cmで、標高1,200m以上の高い山に住み、素早い動きで小動物を捕らえます。

外来種として定着した種類

日本に定着した外来種は、チョウセンイタチとアメリカミンクの2種類が代表的です。

これらは人間が持ち込んだ動物で、今では野生化して在来種や生態系に影響を与えています。

外来種対策は在来種を守る意味でも大切なテーマになっています。

チョウセンイタチ｜都市部に適応した外来種

引用元：チョウセンイタチ | 県内の動植物種について知りたい（外来種） | 生物多様性情報総合プラットフォーム 福岡生きものステーション

チョウセンイタチは朝鮮半島から持ち込まれた外来種で、今では西日本を中心に広く住んでいます。

体長はオスで約35〜45cmとニホンイタチより大きく、都市部や農村への適応力が非常に高いのが特徴です。

山吹色の毛と、鼻・口・のどの白い部分で見分けることができます。

繁殖力が強く、屋根裏や床下に住み着いて騒音や悪臭の被害を起こすケースが多く報告されています。

アメリカミンク｜水辺環境を好む外来種

引用元：「アメリカミンクって知っていますか！？」 | 北海道地方環境事務所 | 環境省

アメリカミンクは毛皮を取るために北アメリカから持ち込まれ、1960年代から北海道で野生化が確認されています。

体長は約30〜45cmで、全身が暗い茶色の毛に覆われ、泳ぎや潜水がとても得意です。

魚やカエル、小動物などを幅広く食べるため、生態系への影響が問題になっています。

ニホンイタチとチョウセンイタチはどう違う？見分け方のポイント

ニホンイタチとチョウセンイタチは見た目が似ているため、区別が難しいと感じる方も多いでしょう。

しかし、いくつかのポイントを押さえれば見分けることができます。

種類を正しく判断することで、法律に沿った適切な対策を選べるようになります。

体の大きさで判別する方法

最もわかりやすい違いは体の大きさで、チョウセンイタチの方が一回り大きいです。

ニホンイタチはオスで体長30〜40cm、体重290〜650gほどですが、チョウセンイタチはオスで35〜45cm、体重650〜820gにもなります。

目撃したときの印象や足跡の大きさからも判断できるでしょう。

尻尾の長さによる識別方法

しっぽの長さも見分けるポイントになります。

ニホンイタチはしっぽが体長の約40%以下と短めですが、チョウセンイタチは50%以上と長めです。

遠くから見ても、体としっぽのバランスに注目すれば種類を推測できます。

毛色の違いと季節変化

ニホンイタチは夏に茶褐色から赤褐色、冬に山吹色へと毛色が変わります。

額から鼻先にかけて濃い褐色の模様があるのも特徴です。

一方、チョウセンイタチは年間を通じて山吹色で、鼻・口・のどの白い部分がはっきりしています。

ただし、冬はニホンイタチも山吹色になるため、毛色だけでの判別は難しくなります。

生息環境と行動パターンの差異

ニホンイタチは自然豊かな山や川の近くを好みますが、チョウセンイタチは都市部や農村にも住み着きやすい性質があります。

チョウセンイタチはより夜行性の傾向が強く、住宅の屋根裏や床下に入り込むことが多いです。

目撃場所や被害の状況から、どちらの種類かを推測することもできます。

イタチ科の仲間たち｜テン・オコジョ・ミンクとの関係性

イタチ科にはイタチ以外にも、テン、オコジョ、ミンクなどさまざまな動物が含まれています。

見た目が似ているため混同されやすいですが、それぞれ違った特徴を持っています。

正確に見分けることで、適切な対策を選ぶことができるでしょう。

同じイタチ科に属する動物たちの違い

イタチ科の動物は、細長い体と短い足という共通点を持ちながらも、サイズや行動には違いがあります。

テン、オコジョ、ミンクはそれぞれ異なる環境で暮らし、異なる役割を担っています。

各種の特徴を知っておくと、いざというときに役立ちます。

テンとイタチの見分け方

テンはイタチより明らかに大きく、体長40〜45cm、体重1.1〜1.5kgとイタチの約2〜3倍のサイズがあります。

季節で毛色と顔色が変わるのが特徴で、夏は体が暗い黄褐色で顔が黒色、冬は体が明るい黄褐色で顔が白色になります。

テンは木登りが得意で、果物や小動物を食べる雑食性です。

オコジョの特殊な生態

オコジョは標高1,200m以上の高山に住むイタチ科動物で、厳しい環境に適応しています。

体長は13〜29cmとイタチより小型ですが、季節による毛色変化が最も大きいのが特徴です。

夏は背中が栗色でお腹が白く、冬はしっぽの先だけ黒いまま全身が真っ白になります。

ミンクの水生適応能力

アメリカミンクは泳ぎや潜水が非常に得意なイタチ科動物です。

体長30〜45cmで暗い褐色の毛に覆われ、水をはじく構造により長時間水中で活動できます。

魚やカエル、ザリガニなどを主に食べ、河川や湖の生態系に大きな影響を与えています。

イタチ科以外でよく間違われる動物

イタチとよく間違われる動物の代表がハクビシンです。

体型が似ているため誤認されやすいですが、実は全く別の動物で、対策方法も異なります。

正しく見分けることで、効果的な対応が可能になります。

ハクビシンとの明確な違い

ハクビシンはジャコウネコ科に属する外来種で、イタチとは全く違う動物系統です。

最もわかりやすい特徴は顔で、額から鼻先にかけて白いラインが走っているのが名前の由来にもなっています。

体長45〜60cm、体重3〜4kgとイタチより大きく、灰褐色の体に黒い四肢が特徴です。

果物を好む傾向が強く、屋根裏での騒音被害や農作物への食害が問題になっています。

なぜイタチは害獣扱いされるのか？被害の実態と理由

イタチが害獣として扱われるのには、人間の生活にさまざまな被害を与えるからです。

単なる迷惑というレベルではなく、健康被害や経済的な損失にまで及ぶことがあります。

被害の実態を知ることで、対策の必要性が理解できるでしょう。

騒音による被害

屋根裏や床下に住み着いたイタチは、夜中に走り回って大きな騒音を立てます。

イタチは夜行性なので、人間が眠る時間に活発に動き、足音や移動音が天井から響きます。

特に繁殖期や子育て中は複数のイタチが長期間騒ぐため、睡眠不足やストレスの原因になることがあります。

農作物・家畜への被害

農業ではイタチによる被害が経済的な損失につながります。

果樹園では熟したトマトやイチゴがかじられ、出荷できなくなるケースが報告されています。

さらに深刻なのは家畜への被害で、鶏舎に侵入して一晩で多くのニワトリを殺してしまうこともあります。

イタチは自分より大きな動物も襲う能力があり、ウサギやハトも被害に遭うことがあります。

住宅へのダメージ

イタチによる建物への被害は、修繕費用という形で直接的な経済損失をもたらします。

断熱材を巣作りの材料としてかじり取るため、建物の断熱性能が下がり、冷暖房の効きが悪くなります。

特に注意が必要なのは電気配線への被害で、ケーブルをかじると漏電や火災のリスクが高まります。

衛生面での健康被害

イタチが持ち込む病原菌や寄生虫は、住民の健康を脅かします。

糞尿にはサルモネラ菌やレプトスピラ菌などが含まれ、清掃中に吸い込むと感染する恐れがあります。

また、イタチの体に付いたダニやノミは人間にも寄生し、皮膚炎やアレルギーの原因になることがあります。

生態系への影響もある？

外来種のチョウセンイタチやアメリカミンクは、日本の生態系にも悪影響を与えています。

在来種のニホンイタチは外来種との競争に負けて、住みかを山間部に限定される状況が進んでいます。

アメリカミンクによる水辺の生物への捕食は、在来の魚やカエルの数を減らす原因になっています。

効果的なイタチ対策｜予防から駆除まで

イタチ対策は、予防・追い出し・駆除という段階を踏んで進めるのが効果的です。

まず侵入を防ぎ、すでに住み着いている場合は追い出しを試み、それでも解決しなければ適切な手続きを経て駆除を検討します。

各段階の方法と注意点を理解しておきましょう。

侵入を防ぐ予防策

イタチの侵入を事前に防ぐ予防策は、被害が起きてから対処するより効率的で経済的です。

予防の基本は、餌・隠れ場所・侵入経路という3つの条件を断つことです。

継続的な対策で、イタチが寄り付かない環境を作ることができます。

侵入経路の特定と封鎖方法

イタチは直径わずか3cm程度の隙間からでも侵入できるため、建物周辺の点検が大切です。

特に注意すべきは、屋根と壁の接合部、換気口、基礎部分のひび割れ、配管の貫通部などです。

これらの隙間を金属製の網やパテで塞ぎ、定期的に確認して破損がないかチェックしましょう。

餌となるものの除去と管理

生ゴミや残飯の管理は、イタチを寄せ付けないための基本です。

密閉性の高いゴミ箱を使い、ペットフードや鳥の餌を屋外に放置しないようにしましょう。

イタチの主な餌であるネズミの駆除も効果的で、ネズミを減らすことで間接的にイタチの侵入リスクを下げられます。

忌避剤や光を活用した対策

市販の忌避剤や木酢液、竹酢液などは、イタチが嫌うにおいで侵入を防ぐ効果があります。

布に染み込ませて通り道に置いたり、スプレーで定期的に散布する方法が一般的です。

動作感知センサー付きLEDライトも効果的で、夜間にイタチが近づくと強い光で威嚇できます。

自分でできる追い出し方法

すでにイタチが住み着いてしまった場合は、安全に配慮しながら追い出しを試みます。

一度で効果が出なくても根気強く続けることが大切で、複数の方法を組み合わせると成功率が上がります。

追い出した後は再侵入を防ぐ対策も同時に行いましょう。

強い光を使った追い出し術

夜行性のイタチは強い光を嫌うため、懐中電灯やLEDライトを使った追い出しが効果的です。

屋根裏にアクセスできる場所から、イタチが隠れていそうな箇所を重点的に照らします。

人感センサー付きライトを設置すれば、イタチの動きに反応して自動で点灯し、継続的に威嚇できます。

嗅覚を刺激する忌避方法

イタチは嗅覚が発達しているため、強いにおいで追い出す方法も有効です。

木酢液や竹酢液は天然素材で安全性が高く、ペットや子供がいる家庭でも使いやすいです。

市販のくん煙剤を使う場合は、換気を十分に確保し、火の取り扱いに注意して作業してください。

超音波機器の効果的な使用法

超音波機器は、人間には聞こえない高周波音でイタチを威嚇する仕組みです。

設置場所は障害物の少ない見通しのよい場所が適しており、壁や家具で音が遮られないようにします。

すべてのイタチが同じ周波数に反応するわけではないので、周波数を変えられるタイプを選ぶのがおすすめです。

捕獲による駆除方法

捕獲による駆除は法律で許可が必要な方法であり、自治体への申請を完了してから行う必要があります。

専門的な知識と技術が求められるため、安全性と動物への配慮を最優先に考えましょう。

捕獲後の処理方法についても、事前に計画しておくことが重要です。

箱わなを使った安全な捕獲

箱わなは、イタチを傷つけずに生け捕りできる人道的な方法です。

設置場所は、イタチの通り道や糞が見つかった場所の近くが効果的でしょう。

餌には鶏肉や魚など新鮮な動物性の食品を使い、周辺の他の餌は事前に片付けておきます。

捕獲時の注意点と安全対策

捕獲されたイタチは強いストレス状態にあり、攻撃的になる可能性があるため、直接手で触れてはいけません。

わなは定期的に確認し、捕獲後は速やかに処理して、長時間閉じ込めたままにしないようにします。

作業時は厚手の手袋と長袖を着用し、万一のかみ傷に備えて救急用品を準備しておきましょう。

イタチ駆除における法的注意点と正しい手続き

イタチの駆除には鳥獣保護管理法による規制があり、無許可で行うと罰則の対象になります。

正しい手続きを踏まないと、個人でも業者でも処罰される可能性があるため、事前の理解が欠かせません。

在来種と外来種では法的な扱いも異なるので、種類の特定も重要になります。

鳥獣保護管理法による規制内容

鳥獣保護管理法は、イタチを含む野生動物の保護と管理を目的とした法律です。

この法律により、イタチの捕獲や殺傷、巣の除去は原則として禁止されています。

例外的に許可される場合も、厳しい条件と手続きが定められています。

特にニホンイタチのメスは狩猟対象からも除外されており、いかなる場合でも捕獲できません。

捕獲許可証の申請方法と条件

捕獲許可の申請は都道府県知事または市町村長に対して行います。

許可が認められるには、具体的な被害が発生していること、予防策を十分に試したこと、他に有効な手段がないことを証明する必要があります。

申請書には被害の写真、損害額、捕獲方法、処理計画などの詳細な情報を添付します。

違法駆除のリスクと罰則

無許可でのイタチ駆除は刑事犯罪に該当し、警察の捜査対象となる可能性があります。

罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金で、法人の場合は代表者個人も処罰対象です。

在来種を傷つけた場合は、自然保護の観点からより重い社会的批判を受けることもあります。

専門業者への依頼メリットと選び方

専門業者に依頼すると、法的手続きの代行、安全な駆除作業、再発防止策の提案といった包括的なサービスを受けられます。

業者を選ぶ際は、害獣駆除の実績と資格、法律への理解度、アフターサービスの充実度をチェックしましょう。

見積もりは複数社から取り、作業内容や保証期間、追加料金の有無を比較することが大切です。

イタチに関するよくある質問（FAQ）

イタチに関する疑問や誤解は意外と多く、間違った情報に基づいて対策すると効果が得られないこともあります。

ここでは、よく寄せられる質問に正確な情報でお答えします。

まとめ

イタチ科動物の対策には、種類の正確な識別から法的手続きの遵守まで、幅広い知識が必要です。

日本にはニホンイタチ、チョウセンイタチ、イイズナ、オコジョ、アメリカミンクなど複数の種類がおり、それぞれ特徴が異なります。

特に重要なのは鳥獣保護管理法を守ることで、無許可での駆除は罰則の対象になります。

被害を最小限に抑えるには、継続的な予防と早めの対応が何より大切です。

困ったときは専門業者や自治体に相談し、安全で効果的な対策を進めていきましょう。