コウモリの餌・好む食べ物は？餌場を作らないだけでは対策が不十分な理由

コウモリが家の近くに現れるのは、周辺に餌となる虫がたくさんいるからです。

ただし、そのような「餌」を減らすだけではコウモリ問題は解決しません。

この記事では、コウモリの餌について正しい知識を身につけ、効果的な対策方法を解説していきます。

コウモリは何を餌にする？基本の食性を知ろう

コウモリ対策を考えるなら、まずは彼らが何を食べているかを知ることが大切です。

日本でよく見かけるアブラコウモリは、小さな虫だけを食べる「昆虫食」の動物でしょう。

種類によって食べるものが違うので、その違いを理解しておくと対策に役立ちます。

アブラコウモリが好む主な昆虫

アブラコウモリは、夜に飛び回る小さな虫を主に食べています。

一番よく捕まえるのは蚊で、特にイエカやヤブカがターゲットになるでしょう。

水辺で大量発生するユスリカも好物で、一晩で数百匹を食べることも珍しくありません。

農業害虫のウンカやヨコバイも食べるため、実は農家にとってはありがたい存在でもあります。

種類別で見る植物食・雑食・吸血性コウモリ

日本のコウモリはほぼ虫を食べますが、世界には様々な食性のコウモリがいます。

熱帯地域には果物や花の蜜を食べる大型種も存在するでしょう。

怖いイメージのある吸血コウモリは、中南米に3種類だけ生息しており、日本にはいません。

国内でコウモリ対策をするなら、アブラコウモリの昆虫食に絞った対策で十分です。

超音波エコーロケーションと捕食行動

コウモリは超音波を出して獲物の位置を把握する能力を持っています。

真っ暗な夜でも虫の場所や動きを正確に捉え、効率よく狩りができるのです。

この能力のおかげで、一晩で300匹もの虫を捕まえることが可能になります。

超音波を使った対策グッズは、この能力を妨害する仕組みを利用しています。

【餌場をなくすだけでは不十分】餌を増やす環境要因とは

「虫を減らせばコウモリは来なくなる」と思いがちですが、それだけでは不十分です。

コウモリは餌以外にも、隠れ場所や快適な温度など、様々な条件で住む場所を選びます。

現代の住宅は、知らないうちにコウモリにとって理想的な環境を作っていることが多いでしょう。

白熱灯・蛍光灯が多い

照明の種類は、虫の集まりやすさに大きく影響します。

白熱電球や蛍光灯は紫外線を出すため、夜になると大量の虫を引き寄せてしまうのです。

玄関灯に白熱電球を使っている家では、夏場に蚊やユスリカが群がり、コウモリの狩り場になりやすいでしょう。

コウモリは一度良い餌場を見つけると、何度も同じ場所に戻ってくる習性があります。

水辺や水溜まりが多い

水がある場所は、蚊の繁殖地になります。

蚊の幼虫であるボウフラは、植木鉢の受け皿や雨どいの詰まりなど、少しの水でもすぐに増えてしまうでしょう。

梅雨から夏にかけては蚊が大量発生し、それを狙ってコウモリが集まってきます。

水環境をこまめに管理することが、コウモリ対策の第一歩です。

生ゴミが放置されている

生ゴミの管理が悪いと、ハエが大量発生してコウモリの餌になります。

夏場は密閉されていないゴミ箱から数日で数百匹のハエが出てくることも珍しくありません。

ペットフードの食べ残しや動物の排泄物も、同じようにハエを引き寄せる原因になるでしょう。

密閉性の高いゴミ箱を使い、生ゴミは冷凍保存するのがおすすめです。

庭などで家庭菜園・園芸を行っている

家庭菜園や園芸は、虫が増えやすい環境を作ってしまうことがあります。

野菜や花にはアブラムシやアザミウマなど小さな虫が発生しやすく、コウモリの餌になるのです。

無農薬栽培を心がけている家庭では、特に虫の数が増えやすいでしょう。

定期的な剪定で風通しを良くし、虫が住みにくい環境を作ることが大切です。

河川や林などが多い

自然が豊かな地域では、虫の発生を完全にコントロールするのは難しいでしょう。

川や池は蚊やユスリカの発生源になり、森林からは様々な虫が住宅地に飛んできます。

田んぼの近くでは、稲の害虫であるウンカが大量発生する時期もあるでしょう。

このような環境では、餌を減らすより建物への侵入を防ぐ対策に力を入れるべきです。

家周りでコウモリの餌を減らす5つの対策

餌を減らすだけでは完璧とはいえませんが、やっておく価値は十分にあります。

正しい方法で続ければ、コウモリが来る頻度を大幅に減らせるでしょう。

複数の対策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

LED照明への交換で飛来昆虫を抑制

LED照明に替えると、虫の集まりを大幅に減らせます。

LEDは紫外線がほとんど出ないため、虫を引き寄せる力が弱いのです。

玄関灯や庭園灯など、外の照明から優先して交換すると効果的でしょう。

電球色（暖かみのある色）を選ぶと、さらに虫が寄りにくくなります。

排水管理で水溜まりを防ぐ

水溜まりをなくすことで、蚊の繁殖を元から断てます。

植木鉢の受け皿や使っていない容器は、週に2回以上水を替えるか伏せて保管しましょう。

雨どいの詰まりも蚊の温床になるため、定期的に掃除が必要です。

庭の池にはメダカや金魚を入れると、ボウフラを食べてくれるでしょう。

生ゴミ・ペットフードを適切に管理する

生ゴミとペットフードの管理で、ハエの発生を防げます。

密閉できるゴミ箱を使い、夏場は生ゴミを冷凍保存するのがおすすめです。

ペットの食事後はすぐに残りを片付け、食器をきれいに洗いましょう。

屋外でペットに餌をあげている場合は、こぼれた餌まできちんと掃除することが大切です。

庭木・果実・花の剪定とネットで防ぐ

庭の手入れをきちんとすれば、虫の発生を抑えられます。

枝を剪定して風通しを良くすると、虫が好む湿った環境が改善されるでしょう。

果樹には防虫ネットをかけ、落果はすぐに片付けることが大切です。

剪定は虫が少ない冬に行うと、翌年の虫の発生を減らせます。

防虫網・殺虫灯など補助アイテムを活用

防虫グッズを使えば、より確実に虫を減らせます。

窓や通気口に防虫網を付けると、虫の侵入を物理的に防げるでしょう。

電撃殺虫器や粘着トラップは、夜に活動する虫を効率よく除去できます。

殺虫灯は住宅から離れた場所に置くと、虫を別の場所に誘い出す囮として使えます。

餌が多いと起きるコウモリ被害と健康リスク

餌が豊富な場所には、コウモリがたくさん集まってきます。

数が増えると不快なだけでなく、健康や建物にも深刻な被害が出るでしょう。

コウモリは直接人を襲いませんが、間接的に様々な問題を引き起こします。

フン尿による悪臭・建物汚損

コウモリのフン被害は、想像以上に深刻です。

一晩で300匹もの虫を食べるため、排泄物の量も膨大になります。

乾燥したフンは粉状になって空気中に舞い、ひどい悪臭の原因になるでしょう。

天井裏に堆積したフンは、天井板にシミを作ったり木材を腐らせたりすることもあります。

寄生虫・病原菌がもたらす感染症リスク

コウモリの体には、ダニやノミなどの寄生虫がついています。

これらは人間にも寄生し、かゆみや腫れ、アレルギー反応を引き起こすでしょう。

フンに繁殖するカビは、吸い込むと肺の感染症を起こす可能性があります。

免疫力が低い人や高齢者、小さな子どもは特に注意が必要です。

鳴き声・羽音による騒音ストレス

コウモリの騒音は、深刻なストレスの原因になります。

興奮したときの「キーキー」という鳴き声は、人間にも聞こえるほど甲高いものです。

集団で住み着くと数十匹が同時に鳴くため、かなりの騒音になるでしょう。

夜の静かな時間に羽音が響くと、睡眠の妨げになり疲れが取れません。

他害虫が誘発する二次被害

コウモリがいると、他の害虫も増えてしまいます。

フンには栄養が多く含まれるため、ゴキブリやハエが集まってくるのです。

コウモリに寄生していたダニやノミが、人間に移ってくることもあるでしょう。

一つの害虫問題が連鎖的に広がっていくのが、コウモリ被害の厄介なところです。

餌やりはNG！鳥獣保護法で定められた注意点

コウモリへの対応で最も大切なのは、法律を守ることです。

日本ではコウモリは鳥獣保護管理法で守られており、勝手に捕まえたり殺したりできません。

知らずに違法行為をしてしまわないよう、ルールを確認しておきましょう。

鳥獣保護管理法で禁止される行為

コウモリに対する一部の行為は、法律で厳しく禁止されています。

無許可での捕獲、殺傷、飼育は違法で、餌を与えることも推奨されていません。

使用中の巣を勝手に壊すことも禁止されているため、注意が必要でしょう。

ただし、追い払う行為や侵入を防ぐ対策は、動物を直接傷つけなければ問題ありません。

けがや衰弱したコウモリを一時保護する手順

弱っているコウモリを見つけたら、正しい方法で保護しましょう。

素手では絶対に触らず、厚手の手袋やタオルを使って間接的に扱います。

通気性のある箱に柔らかい布を敷き、静かな場所に置いてあげてください。

餌や水は与えず、すぐに関係機関に連絡することが大切です。

違反した場合の罰則・罰金

法律に違反すると、刑事罰を受ける可能性があります。

無許可でコウモリを捕獲・殺傷・飼育した場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられるでしょう。

刑事罰なので前科がつき、将来の就職や資格取得に影響することもあります。

故意でなくても処罰の対象になるため、対策は慎重に行う必要があります。

行政・専門機関へ相談する窓口

困ったときは、まず行政機関に相談しましょう。

市役所や区役所の環境関連部署では、コウモリを含む野生動物の相談を受け付けています。

弱っているコウモリを見つけたら、動物愛護センターや野生動物保護団体に連絡してください。

自治体から信頼できる駆除業者を紹介してもらうこともできます。

益獣か害獣か？コウモリと共生するポイント

コウモリは「益獣」と「害獣」の両面を持っています。

害虫を大量に食べてくれる一方で、家に住み着くと様々な被害をもたらすでしょう。

この二面性を理解すれば、感情的にならず適切な対応ができます。

害虫駆除の役割という益獣の側面

コウモリは、自然の害虫駆除係として活躍しています。

1匹で年間10万匹以上の虫を食べるという研究結果もあり、その効果は絶大です。

蚊やユスリカだけでなく、農業害虫のウンカなども食べてくれるでしょう。

農薬を使わない自然な害虫対策として、農業分野でも注目されています。

屋内侵入による被害｜害獣の側面

家の中に入り込んだコウモリは、明らかに害獣です。

大量のフンによる汚染、悪臭、建物の損傷など、被害は深刻になります。

病原菌や寄生虫による健康リスクも無視できないでしょう。

修繕費用が数十万円〜数百万円かかるケースも報告されています。

餌対策だけでは不十分？自力でできるコウモリ対策

餌を減らすのは大事ですが、それだけでは完全には解決しません。

コウモリは一度良い場所を見つけると、簡単には離れない性質があります。

餌対策と合わせて、追い出しや侵入防止も行いましょう。

忌避スプレーによる追い出し

忌避スプレーは、コウモリが嫌う臭いで追い払う方法です。

ハッカ油やユーカリ油を使った製品が多く、出入り口に吹きかけて使います。

ただし効果は3〜5時間程度なので、繰り返し使う必要があるでしょう。

他の対策と組み合わせて使うのが効果的です。

超音波機器を効果的に使う

超音波機器は、コウモリの感覚を混乱させる対策グッズです。

コウモリが餌を探すのに使う超音波を妨害し、居心地を悪くする効果があります。

建物の構造で音が遮られるため、複数台を設置するのがおすすめでしょう。

ただし科学的な効果の証明は限定的なので、補助的な手段として考えてください。

侵入口を封鎖する

侵入口を塞ぐのが、最も確実なコウモリ対策です。

アブラコウモリは1.5cm程度の隙間があれば侵入できるため、小さな穴も見逃せません。

屋根瓦の隙間、換気口、戸袋の隙間などを金網やシーリング材で塞ぎましょう。

封鎖する前に建物内にコウモリが残っていないか確認することが重要です。

防護具を用いて安全を確保する

自分で対策するなら、必ず防護具を着用してください。

N95マスクで粉塵を吸い込まないようにし、厚手の手袋で直接触れないようにします。

使い捨ての防護服か古い服を着て、作業後は適切に処分しましょう。

万が一コウモリに触れてしまったら、すぐに医療機関を受診してください。

コウモリ専門業者に依頼するメリットとは

自分での対策には限界があり、専門業者に頼むのが確実です。

特に大量発生や長期間の住み着きがある場合は、プロに任せることをおすすめします。

法律の知識や専門機材を持つ業者なら、安全に解決してくれるでしょう。

法令遵守で安全な捕獲・駆除

専門業者は、法律に沿った正しい方法で駆除できます。

必要に応じて自治体から許可を取り、適法な手続きで作業を進めてくれるでしょう。

コウモリの種類や状況に合わせた最適な方法を選んでくれるのも強みです。

依頼者が法的リスクを負う心配がないのは大きなメリットでしょう。

糞清掃・消毒・再侵入防止を一括対応

専門業者なら、駆除から清掃まで全部任せられます。

適切な防護具と専用機材を使い、安全にフンを除去してくれるでしょう。

消毒作業では病原菌に効く薬剤を使い、空気の安全性まで回復させます。

侵入口を全て見つけ出し、長期間効果が続く封鎖工事も行ってくれます。

保証やアフターサービスで安心

信頼できる業者は、保証とアフターサービスを提供しています。

一般的に1〜3年の保証期間があり、再発した場合は無償で対応してくれるでしょう。

定期点検で新たな侵入リスクを早期発見し、予防対策も実施してくれます。

24時間対応の相談窓口がある業者なら、緊急時も安心です。

費用相場と優良業者の選び方

コウモリ駆除の費用は、被害状況によって大きく変わります。

小規模なら3〜10万円、中規模で10〜30万円、大規模で30万円以上が相場でしょう。

無料で現地調査をして詳しい見積もりを出してくれる業者を選ぶのがおすすめです。

最安値だけで決めず、サービス内容や保証も比較しましょう。

コウモリの餌と対策でよくある質問（FAQ）

コウモリ対策でよく聞かれる質問をまとめました。

正しい知識を持っておけば、効果的な対策につながります。

まとめ

コウモリの餌を減らすことは大切ですが、それだけでは問題は解決しません。

LED照明への交換、水溜まりの除去、生ゴミの管理など、餌となる虫を減らす対策は確かに有効でしょう。

しかしコウモリは一度住み着くと同じ場所に戻ってくる習性があり、餌対策だけでは追い出せないことが多いのです。

効果的な対策には、餌対策・忌避対策・侵入口封鎖の組み合わせが必要になります。

鳥獣保護管理法により捕獲や殺傷は禁止されているため、大規模な被害がある場合は専門業者への依頼がおすすめです。